七五三の季節です。この時期の写真館の朝は、にぎやかです。
草履が気に入らないと言って靴下のまま歩き回る子。慣れない袖がくすぐったくて、ずっと指でつまんでいる子。着付けの終わったおばあちゃんが、鏡の前でそっと襟を直す姿。
支度の時間に その日の全部がある
正直に言うと、僕がいちばん好きなのはこの時間です。まだ誰もカメラを意識していない、支度の時間。髪飾りをつけてもらう子どもの首のすくめ方に、家族の何年分もの気配が写っています。
だからうちでは、支度のあいだからもう撮影が始まっています。きちんと並んだ一枚は、その日の最後にゆっくり撮ればいい。
じっとできなくて 大丈夫
七五三の主役は、じっとしていられないものです。それでいいと思っています。じっとできない時間も、その子の七五三だからです。
草履の攻防も、袖のくすぐったさも、ぜんぶ含めてその日の記憶。家族の空気ごと、一枚にあずかります。