工房の隅に、割れたガラスを入れる木箱があります。今年はもう217個。「もったいない」とよく言われます。その通りです。それでも割る基準を変えるつもりはありません。
遠目にはきれい、が一番こわい
落とす器の多くは、ぱっと見はきれいです。でも光を当てると、面のうねりや、狙っていない泡が見える。板ガラス職人だったころに叩き込まれたのは「ガラスは正直だ」ということでした。出荷したあとで気づくのは、お客さんの食卓の上です。それなら工房で割ったほうがいい。
割った数は、内訳カードに書く
透の器には全品、材料費・燃料代・吹いた時間・割った数を書いた内訳カードを付けています。割った数を書くのは、棚の一客が「たまたま残った一個」ではなく「残すと決めた一個」だと言い切るためです。
割ったガラスは、原料に戻る
217個は捨てません。砕いてカレット(再溶解用のガラス粒)にして、次の窯に戻します。色のついたものは混ざりものになるので、無色の器の原料にだけ使います。ぐるぐる回っているので、厳密には「もったいなくない」のです。
体験で吹いた器は、この基準では検品しません。形のゆがみも、その日の記念です。
うつわと内訳カードの詳しいことは 体験とうつわ をどうぞ。

