聴き心地の設計
朝の支度に流す曲。仕事の合間に聴く声。帰り道に選ぶ一枚。イヤホンを使う時間には、音楽以外の小さな動作も含まれています。私たちは、その一連の時間を思い浮かべるところから設計を考えました。
最初に確かめたいのは、耳への収まりです。付け直したくなる圧迫感や、外すときのつまみにくさがあれば、聴くことに集中できません。ノズルとイヤーピースの関係を見ながら、無理なく触れられる形を探ります。
KANADE ONEは、そんな検討を目に見える形にした架空の製品コンセプトです。性能や量産を実証した製品ではなく、耳に触れる道具をどう説明するかを体験できる制作見本として設計しています。
耳のかたちは一人ずつ異なります。同じ角度や同じ大きさがすべての人に合うと決めつけず、付け方を確かめる余地を残すことを大切にしたいと考えています。
分解表示で見えるのは、ドライバー、バッテリー、筐体といった部品の位置関係です。音を生む部分と電気を蓄える部分を小さな空間にどう収めるか。外側からはわからない構造を、順に見るためのモデルです。
音の説明では、好きな声や聴き慣れた楽器を手がかりにします。低音の量だけでなく、言葉の輪郭や余韻に耳を向ける。数字だけでは伝えにくい聴き方の視点を共有したいと考えています。
聴き終えたあとの動作も製品の一部です。左右を見分ける、ケースに収める、次の日に持ち出す。繰り返すほど自然に扱える道具を目指す姿勢を、この形に込めました。
写真や3D表示を通して、部品と使う場面を行き来する。気になるところを立ち止まって見る。あなたならどんな時間に使いたいか、想像しながらご覧ください。
今日の一曲を、心地よく。