いちばん高い一本
棟木が上がると、屋根の形が空に現れます。それまで平面と立面の中にしかなかった線が、はじめて実寸で空を切り取る瞬間です。
設計者としては、ここでようやく答え合わせができます。この勾配でよかったか。軒の出はこれで足りるか。図面の上では何度も確かめたはずのことを、もう一度確かめます。
並べると、家の形になります。
静かな見せ場
上棟の日は、賑やかなようでいて実はとても静かです。声を出しているのは大工さんだけで、こちらは基本的に見ています。
ここまでの打ち合わせで決めたことが、そのまま形になっていく。決めたことが薄まらずに建つというのは、こういうことだと思います。
ここから先は、住む人の時間
引き渡しまではまだ数か月あります。けれど棟が上がると、家はもう住む人のものになっていく感じがします。
私たちの仕事は、そこへ渡すまでの線を引くことです。